ハワイの自然環境を守る取り組み|サステナブルな旅のポイント
雄大な自然が美しいハワイ。
しかし近年は、ビーチのゴミや海水汚染、絶滅危惧種などが問題視されています。
そこでハワイ州では、自然環境を守るための取り組みを強化。後世に美しい海や山の自然を残すために、さまざまな条例を発令してきました。
現地の人も旅行者もハワイを思いやり、サステナビリティを意識した環境に優しい行動をすることが大切。
今回の記事では、ハワイ州の自然環境を守る取り組みを紹介するとともに、サステナブルな旅にするため私たちが気をつけることやできることをお伝えしていきます。
ハワイを訪れる方は、ハワイの美しい自然を守るためにどのような行動ができるかぜひチェックしてみてください。
ハワイで環境保護のために施行された条例
自然環境を守るための取り組みとして、エコバックやマイボトルの持参、紙ストローの使用や、サンゴや海の環境に配慮した日焼け止めの使用などを呼びかけているハワイ。
ハワイ州が独自で取り組むSDGs「アロハ・プラス・チャレンジ」の達成に向けて、プラスチックのレジ袋の配布・販売禁止、サンゴに有害な成分の入っている日焼け止めの販売禁止などを条例で定めています。
ハワイ州では一般の人々のサステナビリティに対する意識も高まってきたようです。
ここからは条例について詳しくみていきましょう。
オアフ島の食品販売業者へプラスチック削減に向けた条例
ホノルル市は、プラスチックによる環境汚染を防ぐために、レストランなどを含む食品販売業者へ「石油系プラスチック製の使い捨て容器やビニール袋を使用し食品を提供することを禁止」とする条例を2021年4月より施行。
そのため、プラスチック製カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン、ストローなど)、発泡スチロール製のコーヒーカップやプラスチックの蓋つき容器の使用および提供が禁止となっています。
カフェのストローはどこも紙製。スタバではストロー自体が廃止され、ストローを使わなくても飲めるようにカップが改良されました。
カップ自体、石油が使われていないエコなカップを使用しています。スタバはスタバマークの入ったカップですが、ホノルルにあるカフェの多くは分かりやすい「ECO」の文字が入った以下のようなカップを使用。
ただ、ECOカップだからといってポイ捨てが許されるわけではありません。ゴミはビーチや公園に置きっぱなしにせず、しっかりゴミ箱に捨てましょう。
オアフ島、ビニール製プラスチック袋の配布・販売禁止
オアフ島のスーパーマーケットやコンビニなどでは、2020年1月1日よりビニール製プラスチック袋の配布・販売が禁止となりました。
紙袋や布製のバックは有料で購入可能ですが、1枚15セント(約20円)以上かかるので、エコバックの持参がおすすめ。ごみの削減にもつながります!
ハワイでは多くのショップやスーパーマーケット、コンビニ、ブティックでオリジナルデザインの可愛いエコバックを販売。
ホールフーズやダウントゥーアースなどにあるハワイ限定デザインのエコバックは、観光客にも大人気です!おしゃれで自然環境も守るエコバックを、ぜひひとつは持ちたいものですね。
サンゴ礁への有害が指摘されている成分を含んだ日焼け止めの販売禁止
ハワイ州では、2021年1月1日からサンゴ礁への害が指摘されている成分(オキシベンゾンとオクチノキサート)を含んだ日焼け止めの販売を禁止。
また、マウイ郡では2022年10月1日から、ミネラルを含まない日焼け止めの使用と販売が禁止されています。
この背景には、年間約4,000~6,000トンの日焼け止めが、人の皮膚からサンゴ礁の海域に流れ出ていると報告されたことがあります。日焼け止めに含まれる有害成分(オキシベンゾンやオクチノキサート)が、サンゴ礁を白化させ、死滅させる原因になるのです。
美しいハワイの海を守るために、サンゴ礁に害のない日焼け止めを使用しましょう。
ハワイでは「Reef Safe」「Reef Friendly」などとパッケージに表示された日焼け止めが販売されています。日本製の日焼け止めの90%はサンゴに害があるそう。ハワイでReef safeの日焼け止めを購入し使用することで、自然環境の保護に貢献できます。
有害な成分を含んでいないオーガニックの日焼け止めも良いですね。
ハワイの自然環境を守るために気をつけること
ここまでは、条例に基づいて私たちが意識すべき行動を紹介してきました。ここからは、条例ではないけれど注意する点をお伝えしていきます。
ハワイの固有植物を守る行動を
ハワイの主要6島には、それぞれに代表する植物があります。
ハワイ州全体で約 2,944 種類もの固有種が生息していますが、その中でもハワイ島を代表する赤い花「オヒアレフア」は大変貴重です。(オヒアは木、レフアは花という意味。)
ハワイ固有種のオヒアレフアは、絶滅危惧種の鳥やハワイに生息する唯一の陸生哺乳類のコウモリをはじめ、多くの在来種にとって生息環境や栄養を与えてくれる重要な存在。
しかしここ数年、植物に寄生する菌によって枯渇し数十万本も枯れてしまいました。
ハワイ州は、貴重なオヒアレフアを保護するために次の5つのことを守るよう呼びかけています。
- オヒア(木)を傷つけない
オヒアに傷がつくと、枯渇させる原因となる菌が入り込みやすくなります。傷つけないようにしましょう。 - オヒアレフアを持ち帰らない
菌の感染を防ぐために検疫ルールに従う必要があります。オヒアの苗、樹木、土を許可なく動かすことは禁止です。 - オヒアレフアを動かさない
菌の感染が確認されている場所から、オヒア(木、枝)を動かさないようにしましょう。 - 装備品を洗う
オヒアに触れた装備品は、必ず洗って付着する土を落とし、濃度70%の消毒用スプレーで消毒しましょう。森林に入る前後には、衣服や靴、装備道具などを清潔にし使用後は洗剤と熱湯で洗いましょう。 - 洗車する
感染が確認されているエリアや砂利道を通った場合は、車体やタイヤを洗剤で洗浄し泥や土を取り除きましょう。
もちろん、オヒアレフア以外にもハワイ固有の貴重な植物がたくさんあります。きれいだなと思っても無断で摘み取ったり、日本に持ち帰るようなことはしないように注意しましょう。
ハワイで海洋生物に出会っても接近しすぎない
ハワイの海でウミガメやハワイアンモンクシール、イルカなどの海の生き物たちを見たい!一緒に戯れたい!と思う方も多いのではないでしょうか。
海の生き物たちを身近に感じられることは、ハワイの素晴らしい点のひとつでもあります。
しかし、ハワイの海洋生物には絶滅危惧種に指定されているものがたくさん。ハワイ州は特に、ウミガメ、イルカ、クジラ、モンクシールを保護しており、違反した場合には罰金が科されます。
こちらから近づいたり、触ったり、えさを与えたりはせず、推奨距離を守らなければなりません。
推奨距離は以下の通りです。
- ウミガメ:3m以上
- ハワイアンモンクシール:15m以上
- イルカ:45m以上
- ザトウクジラ:90m以上
コロナ規制で観光客が激減した時期に、海水が綺麗になったためワイキキビーチにウミガメが出現したことがありました。すぐに市の職員が駆けつけ対応。
人々が近づかないよう規制線が貼られ、みんな離れたところからウミガメが海に戻っていくのを見守りました。(こちらの写真も遠くから撮影してアップにしたものです)
海洋生物に出会うと思わず近づいたり触ったりしたくなります。しかし、野生で生きている彼らは非常にデリケート。推奨距離を守ることが保護につながります。
進入禁止エリアに侵入しない
大小合わせ132の島々からなるハワイ諸島で、観光客が訪れることができるのはオアフ島、ハワイ島、マウイ島、カウアイ島、モロカイ島、ラナイ島の6島。
実は、これら6島の中にも立入り禁止エリアがあるのをご存知ですか?
立ち入り禁止エリアにはたいてい標識がありますが、もし標識がなく分からない場合は事前に確認することをおすすめします。
うっかり侵入することのないように注意しましょう。
ハワイ文化は「アロハスピリット」に基づきハワイの土地に長年根付いたもの。文化的史跡を破損したり、進入禁止エリアに侵入しないこと。また、岩や石、植物なども動かしたり持ち帰らないようにしましょう。
ネイティブハワイアンとハワイの伝統文化を尊重することが大切です。
最後に
今回は、ハワイ州の自然環境を守る取り組みを紹介するとともに、私たちがサステナブルな旅をするために気をつけるべきことやできることをお伝えしてきました。
ハワイには、「ポノトラベラー」という言葉があります。
「ポノ」はハワイ語で、善良、道徳的な正しさ、幸福、同義をわきまえた、という意味。
ポノトラベラーとは、旅先の住民が大切に守っている自然環境や文化、習慣に敬意を払い正しい行動を取ることができる旅行者のことを指します。
ハワイを訪れる際は、ポノトラベラーとしてハワイの自然環境を守っていきましょう!いつまでも美しいハワイであることを願いながら。