ハワイは日本人にとって住みやすい?人口比率の影響について解説
ハワイは日本人に大人気。旅行で訪れるだけではなく、留学や仕事、移住などでたくさんの日本人がハワイに住んでいます。
ハワイほど日本人に愛されている海外はないのではないでしょうか?
日本人がハワイを好きな理由としては、「美しい自然や景観、人々のアロハスピリットに癒される」というものが多いのかもしれません。
そして、実はもうひとつ。
人口約145万人のハワイ州が「アジア系の多い土地」であることも日本人が居心地良く感じる理由だといわれています。意外と気づかないかもしれませんが、ハワイの人種構成はほかのアメリカの州と大きく異なるのです
この記事では、ハワイの人口比率とアジア系の多さが住みやすさに与える影響について解説していきます。
ハワイの人口構成
ハワイは「多様性」ナンバーワンの州
2020年国勢調査によると、アメリカ州全土の「多様性」を図る指標でハワイ州が76%と第1位。
ハワイ州の人口は約145万人ですが、その10人に7人は白人以外ということになります。それだけさまざまな人種・民族が生活しています。
ちなみに2位が69%でカリフォルニア州。3位は68%のネバダ州。
ハワイの人口構成はアジア系がトップ
人種 | 2020年 |
---|---|
アジア系 | 37.2% |
黒人 | 1.6% |
ネイティブアメリカン アラスカ先住民 | 0.3% |
ハワイアン その他のパシフィック系 | 10.8% |
その他 | 1.8% |
混血 | 25.3% |
白人 | 22.9% |
アメリカ本土では平均して白人が全人口の70%を占めるのに対して、アジア系はわずか5%程度とされています。アジア系はマイノリティ。
一方ハワイ州では、白人22.9%、アジア系37.2%と割合が大幅に逆転しています。
アジア系が占める割合のほうがはるかに高く、ハワイでは白人がマイノリティ。特にアジア系の割合が多いオアフ島・ホノルルは「アジアの首都」とも呼ばれるほど。
白人以外の人種が占める割合が、なんとハワイ人口の50%を超えています。混血(2種以上の人種/ミックス)の人口は25.3%。
つまり、アメリカ本土では10人に7人が白人のところ、ハワイでは10人に7人が非白人以外ということになります。ハワイの人種構成は白人が少なく、アジア系や混血の割合が多いのが特徴。
このような人口構成のため、ハワイに来た日本人にとって、自分と似た外見の人が多いことで無意識に安心感や居心地の良さを感じるのではないでしょうか。
また、生活のあらゆるところにアジア文化や日本文化が浸透しているので、日本人に馴染みやすいと言えます。
日本食レストランや日本食スーパーが多くあるのはもちろん、日本のさまざまなグッズを手に入れることができるのもハワイの特徴。
ハワイにおける「アジア系」の分類
ハワイ人口で「アジア系」がトップであることはわかりましたが、その内訳を細かくみていきます。
フィリピン系:19%
日系:17.8%(日系アメリカ人)
中国系:5.3%
韓国系:2.3%
ベトナム系:0.9%
アジア系で最も多いのがフィリピン系。
2000年頃は日系が一番多かったのですが、近年はフィリピン系が日系を抜いてトップに。確かに、フィリピン系は大家族が多い印象です。
意外かもしれませんが、中国系や韓国系は少数。現地でよく見かける中国系の方々はほとんどが観光客ということなのでしょう。
以下、ベトナム、インド、タイ、ラオス、台湾、カンボジア、インドネシアと続きます。
このようにアジア系が多くなった理由としては、19世紀から20世紀にかけてサトウキビやパイナップル栽培が盛んになり、農業労働者としてアジアから大量の移民が押し寄せたから。
ハワイの人口構成は島によって異なる
カウンティ別の人口構成
アジア人が圧倒的多数を占めるハワイ州ですが、実はカウンティ別にみると人口構成は若干異なります。
カウンティ | アジア系 | 白人 |
ホノルル・カウンティ(オアフ島) | 43.9% | 20.8% |
ハワイ郡(ハワイ島) | 22.2% | 33.7% |
マウイ郡(マウイ島・ラナイ島・モロカイ島) | 28.8% | 34.4% |
カウアイ郡(カウアイ島・ニイハウ島) | 31.3% | 33% |
ホノルル・カウンティ(オアフ島)は、アジア系43.9%に対して白人20.8%。ハワイ州の中で、最もアジア系の占める割合が高い地域です。
一方、ハワイ郡(ハワイ島)は、アジア系22.2%に対して白人33.7%と割合が逆転。
マウイ郡(マウイ島・ラナイ島・モロカイ島)は、アジア系28.8%に対して白人34.4%。カウアイ郡(カウアイ島・ニイハウ島)は、アジア系31.3%に対して白人33%でほぼ同じくらい。
アメリカ国内でハワイといえば「マウイ島」がメジャー
日本人が「ハワイ」と聞いてまず思い浮かべるのはホノルル・ワイキキではないでしょうか。
一方で、アメリカ国内でハワイといえば「マウイ島」というイメージが強いです。アメリカ人に人気の旅行先はホノルルよりもマウイ島。ホノルルはメインではなく、マウイ島のついでに寄るという人が大多数。
アジア系が多いホノルルを「アメリカなのに違和感がある」と感じる人も多いんだとか。
また、地域・エリアによっても人口構成が大きく異なります。ハワイでも、日系が多い地域、フィリピン系が多い地域、白人が多い地域など、はっきりとした住み分けが見られます。
例えばホノルルでいうと、ハワイカイに白人が多いのは有名。
ハワイアンとは
ここまで人口構成をみてきましたが、ハワイに古くから住んでいたハワイアン(ハワイ人)とはどのような人を指すのでしょうか。
ハワイアン(ハワイ人)とは、ハワイにもともと住んでいた先住民のことで、ポリネシア人を祖先とする人。
外見的特徴としては、肌が褐色で髪の毛が黒い人が多くフィリピーノに似ていとも言われます。
ハワイはもともとハワイアンだけが住んでいたのですが、18世紀以降の植民地化によって、白人やアジア人などさまざまな人種・民族が押し寄せ、それらの人々が共存する場所になりました。
現在、自らを純血のハワイ先住民とみなしている人は人口のわずか10%程度。
ハワイアンの占める割合は、島によっても異なります。ハワイアンが占める割合が最も多いのはハワイ郡で12%。以下、マウイ郡10%、ホノルル市郡9%、カウアイ郡9%。
ホノルルでハワイアンに会うことは稀です。
「ロコ(ローカル)」とは
また、「ロコ(=local:ローカル)」と呼ばれる人たちもいますよね。
「ロコ(=local:ローカル)」と呼ばれるのは、ハワイアン以外でハワイに生まれ育った人を指します。ハワイ出身でなくても、子供の頃にハワイに引っ越してきてハワイで育った人も含まれます。
大人になってからハワイに移住した人は含まれません。
ハワイのロコたちの多くが、ハワイ出身またはハワイで育ったことを大変誇りに思っています。自分の故郷を大事にする心も「アロハスピリット」。
最後に
今回は、ハワイの人口構成について詳しく解説しながら、アジア系の多さが住みやすさに与える影響について考えてみました。
日本人がハワイを好きな理由、居心地よく感じる理由のひとつに、「アジア系が多い」ということがあるのだとわかりましたね。
筆者もアジア系が少ないヨーロッパなどの国を旅行した際に、マイノリティで少しだけ居心地の悪さを感じたことがあります。でもハワイでは全くそんなことを感じません。むしろ、とっても居心地が良いのです!
ハワイを訪れた際は、どんな人種・民族の人に出会うかなと少し観察して見るのも面白いかもしれません。そして、仲良くなったらぜひ異文化交流をしてみてください。
参照:Racial and Ethnic Diversity in the United States: 2010 Census and 2020 Census