ハワイで使われる英語は少し違う?独自に発達したピジン語を解説
ハワイには古くから使われている「ハワイ語」がありますが、それに加え「ピジン英語」もしくは「ハワイ・クレオール英語」というものがあるのをご存知ですか?
ハワイは、さまざまな人種が集まり多様な文化がミックスされていることで知られています。
そんなハワイだからこそ生まれたピジン英語には、なんと日本語由来のものもあるんです!私たち日本の文化もハワイ文化に大きな影響を与えているんですね。
今回は、そんなハワイで使われるピジン英語が生まれた背景や、ピジン語にはどんなものがあるか紹介していきます。
ハワイの歴史やピジン語の由来を知りたいという方はぜひチェックしてみてください。ハワイ通になれること間違いなし!
ハワイの歴史
まず初めに、ハワイの歴史を少しだけ簡単にご紹介します。
ハワイは1959年に米国50番目の州となった最も新しい州。一方で、その歴史はなんと十数世紀も前にさかのぼります。
ハワイはもともと無人島でしたが、およそ1,500年前にマルケサス諸島のポリネシア人がハワイ島に漂着。カヌーで3,200km以上を航海してやってきました。
その500年後にはタヒチから多くの人々が移住。彼らは古代ハワイにおける信仰の基礎となる神や半神半人の思想を持ち込み、厳格な社会階層を導入しました。その後数世紀にわたりハワイ文化は繁栄し、フラダンスやサーフィンなどのスポーツが生まれました。
1778年、イギリスの航海士キャプテン・クックがカウアイ島ワイメア湾に上陸。しかし、上陸からわずか1年後に殺害されてしまいます。
その後、カメハメハがハワイ諸島全域を1810年に統一して1つの王国とし、ハワイ王国が誕生。
1820年、最初のプロテスタント宣教師がアメリカ東海岸のボストンよりハワイ島に上陸。ホノルルに施設を建てて布教活動を展開していきました。その頃になると、ハワイは船乗り、貿易商、捕鯨漁民の集まる港となり、捕鯨産業がマウイ島で栄えました。
西洋からの影響は拡大し、1893年、ハワイの経済を支配していた米国からの入植者が王国を平和的なクーデターで転覆。1898年にハワイは米国の属領になりました。
19世紀後半〜20世紀に入ると、サトウキビやパイナップル栽培がハワイ経済を牽引。農業労働者として、多くの日本人、中国人、フィリピン人、ポルトガル人、スペイン人、プエルトリコ人などが移住してきました。
このようにさまざまな国からの移民がハワイに移住してきた歴史から、今日のハワイの人口構成は非常に多様なものに。そのため、次に紹介する「ピジン英語(Pidgin English)」が生まれることになりました。
ハワイで使われる英語とは?
ハワイで使われている英語はアメリカ英語。
ワイキキエリアでは移民の方が働いているお店が多いため、聞こえてくる英語が少し訛って聞こえることがあるかもしれません。しかし、ハワイで生まれ育ったアメリカ人は綺麗なアメリカ英語を話します。
それとは別に、ハワイにはハワイアンに古くから使われている「ハワイ語」があり、それに加え独自に発達した「ピジン英語」というものがあります。「ハワイ・クレオール英語」とも呼ばれます。
ハワイのピジン英語とは
19世紀から20世紀にかけて、ハワイではサトウキビやパイナップル栽培が盛んに。農業のために、日本、中国、フィリピン、ポルトガル、スペイン、プエルトリコなどからたくさんの労働者が移住してきました。
彼らは英語が完璧に話せるわけではなかったため、自分たちの言語と英語を混ぜた言葉を使って会話をしていたそうです。
その後、彼らの子供たちは親の話す言語と学校で学ぶ英語を身につけ、移民たちの母国語と英語とが混ざったハワイ独自の「ピジン英語」が発展していきました。
現在ではこのピジン英語がハワイの人々が日常的に使う言葉として、生活の中に溶け込んでいます。
そのためハワイでは、英語、ハワイ語、ピジン英語の3つが存在するということになりますね。
ちなみに「Aloha(アロハ)」や「Mahalo(マハロ)」などの挨拶でよく使われる言葉はハワイ語。
ハワイ・ピジン英語の発音
ピジン英語の元は英語であるため、ほとんど違いはありません。しかし、発音が違ったり意味が違ったりするものも。例を少しご紹介します。
- 「th」の発音を「t」や「d」で発音
・数字の3「three (スリー)」はピジン英語では「tree (トゥリー)」と発音されます。
・考えるという意味の「think (シンク)」は「tink (ティンク)」と発音されます。
・「the(ザ)」は、「Da(ダ)」と発音されます。
- 母音のあとの「r」は発音をしない
・サンダルを表す「slipper (スリッパー)」は、「slippah(スリッパ)」になります。
Rの舌を巻く発音をしないので、日本人には発音しやすいかもしれませんね。
ハワイ・ピジン英語独自の表現
通常の英語と、ピジン英語では表現の仕方や意味が違うものもたくさんあります。例をいくつかご紹介。
- 鳥肌
英語→goose bumps(グースバンプス)
ピジン英語→chicken skin(チキンスキン)
- たくさん
英語→a lot, plenty(ア ロット、プレンティー)
ピジン英語→choke(チョーク)
- お喋りする
英語→chat(チャット)
ピジン英語→talk story(トークストーリー)
- 幼少期
英語→childhood(チャイルドフッド)
ピジン英語→small kid time(スモールキッドタイム)
また、ハワイのお店にある看板やTシャツのプリントで見かける「Da kine(ダ・カイン)」や「Howzit(ハウジット)」もピジン英語の表現です。
- 「Da kine」は英語で「That kind」
→「You know da kine?」=あれ知ってる?
- 「Howzit」は英語で「How’s it going?」=調子はどう?
ハワイ語由来のピジン英語
今日では、全てハワイ語を使って会話する人はいませんが、ハワイ語の単語は日常の中に溶け込んで、多くの人に使われています。そんなハワイ語由来のピジン英語はこちら。
- pau(パウ)= 終わる
- puka(プカ)= 穴
- lanai(ラナイ)= ベランダ
- okole(オコレ)= おしり
ベランダを意味する「ラナイ」はよく聞いたり使ったりする人も多いのでは?お部屋の間取りを言う際に「ラナイ付き」と言われることがほとんどです。
日本語由来のピジン英語
日本からも多くの労働者が移住したため、日本語由来のピジン語もあるんです。例えば次のような言葉。
- Bachi(バチ)=罰
- shi-shi(しーしー)= トイレに行く
- bocha(ぼちゃ)= お風呂に入る
BachiやBochaなどはローカルジャパニーズがよく使う言葉です。
また、日本語がそのまま使われている言葉もあります。
- musubi(むすび)
- shoyu(醤油)
- furikake(ふりかけ)
最後に
今回は、ハワイで使われるピジン英語が生まれた背景や、ピジン英語にはどんなものがあるかご紹介しました。いかがでしたか?
皆さんも聞いたことがある言葉が出てきたのではないでしょうか。ハワイを訪れた際は、ロコたちの会話に耳を澄ませてみてくださいね。
特に日系(ローカルジャパニーズ)の人たちが日本語由来のピジン語を使っていて「あれ?日本語?」と思うことがよくあり面白いですよ。