ハワイ入国審査で女性一人旅の注意点は?実体験をもとに解説
昨今話題になったのが、ハワイ旅行のため一人で入国審査を受けたインスタグラマーの女性が入国拒否に遭ってしまったというニュース。
こんなニュースを聞くと、女性が一人でハワイに行くのはやめた方が良いのかな?と心配になってしまいますよね。
確かに、ハワイに限らずロサンゼルスやニューヨークなど全米の主要都市でも、女性一人旅の入国審査は以前よりも厳しくなっているようです。筆者はこれまで何度か一人で入国していますが、その際も質問がかなり多いなと感じました。
ただし、必ずしも一人で旅をしている女性が入国拒否になるというわけでなく、審査官は質問に対する回答の内容や話し方、態度、服装などから総合的に判断していると考えるのが妥当です。
今回の記事では、ハワイの女性一人旅で入国拒否が増えている背景と、筆者が一人旅した際の実際の質問&回答をもとに入国審査で注意するポイントをお伝えします。
これからハワイを含むアメリカに一人で旅行しようと計画している女性の方、入国審査での受け答えが不安という方はぜひチェックしてみてください!
ハワイ入国時に女性一人旅の強制帰国が増加?
ESTAを取得することでハワイを含む米国に90日間の滞在が可能ですが、頻繁に訪れていたり、滞在期間が1ヶ月以上などの長期滞在を繰り返している場合には不法就労を疑われる可能性が高くなります。
日本人にはハワイ好きが多く、リピーターとして何度も訪れる人も多いです。そのため、単純に入出国を繰り返すだけで不法就労を疑われるというのは考えにくいでしょう。しかし、滞在先が決まっていなかったり、十分な経済力がないにも関わらず頻繁にハワイと日本を行き来していると、不審に思われる可能性があります。
近年は、高い報酬を目当てにアメリカに出稼ぎに行くアジア人女性が急増していることから、アメリカの入国審査が厳格になりました。 それに加え、急激な円安の影響もあり、観光目的でハワイなどを訪れた日本人女性が売春目的を疑われ、入国拒否・強制帰国になってしまうケースが増えているようです。
参照:ハワイに日本人女性“入国拒否”急増…“海外出稼ぎ”増加 業者を直撃【詳細版】
ハワイの入国審査で実際に聞かれたこと
入国審査では渡航目的や滞在期間、滞在場所などの基本的な質問のほか、不審な点はないかチェックが行われます。質問が一通り終わると、アメリカ入国が初めての場合は、生体認証(指紋と顔写真の登録)が行われます。最後に預けた荷物をピックアップしてゲートに出れば無事入国です。
以前からハワイに女性一人で入国する場合、疑われる傾向があったことは確かです。しかし、最近では円安の影響もあり、貧しい国から出稼ぎに来ていると疑われ、質問内容が厳しくなってきたように感じます。
ここからは、筆者が実際に一人でハワイを訪れた際の入国審査での質問と回答の内容をお伝えます。2021年11月、2022年9月、2023年7月の合計3回分です。
2021年11月
この時は、まだコロナ渦の終わり頃で日本からの観光客が少ない+ワクチン接種証明書の提示が必要+搭乗前の陰性検査も必要だった時期。そのため、女性の一人旅はかなり不審に思われたようです。かなり質問が多く、踏み込んだ内容を聞かれました。
Q. パスポートをお願いします。一人旅ですか?
A. はい一人です。
Q. どうして一人で来たのですか?
A. 仕事の休みが取れたことと、他に一緒に来る人がいなかったからです。
Q. ハワイに来た目的は?
A. バケーションです。
Q. どのくらい滞在しますか?
A. 2ヶ月です。
〜審査官は疑い始めた様子〜
Q. 2ヶ月?どうしてそんなに長いのですか?あなたは以前ハワイに住んでいたのに。
(パスポートに貼ってあった以前のVISA査証をチェックしていました)
A. それは1年も前のことで、今回はバケーションで休みが長く取れたから。今まで行ったことのない場所にも行く予定だからです。
(実際はリモートワークをしますが、「仕事(ワーク)」というワードを出して勘違いされるリスク回避のため「バケーション」と通しました。)
Q. ハワイ滞在中は何をする予定ですか?
A. ハイキングやサーフィンをしたり、友人に会う予定です。あと、友人の結婚式に参列する予定です。
Q. その友人は日本人ですか?
A. 友人は日本人で、旦那さんは現地の方です。
Q. ハワイに友人は何人くらいいますか?
A. 何人かいますが、そんなに多くはありません。5人程度です。
(あまり多いと不審に思われそうなので5人くらいと答えました。)
Q. 英語はどこで習いましたか?ハワイに住んでいた時に習いましたか?
A. ハワイに住んでいた時ではありません。主に大学で勉強しました。
Q. 以前ハワイに住んでいた時は何をしていましたか?
A. ローカルの企業で働いていました。
Q. それはどんな会社ですか?
A. ハワイの雑貨や洋服を扱う会社です。
Q. 今は何の仕事をしていますか?
A. 今はXXX会社でXXXの仕事をしています。
Q. それは日本の会社ですか?
A. はい、東京にある会社です。
Q. 仕事は2ヶ月も休めたのですか?
A. はい、休めました。
Q. 会社名を教えてください。
A. XXXです。
Q. 部署は?
A. XXXです。
Q. どこに滞在しますか?
A. XXXです。
Q. 2ヶ月もそこに滞在するのですか?
A. はい、そこはコンドミニアムなのでホテルほど高くありません。
Q. ハワイで仕事をするつもりですか?
A. いいえ。
Q. 所持金はいくらですか?
A. 現金300ドルと、クレジットカード2枚です。
Q. 食べ物は持っていますか?
A. チョコレートとかクッキー、クラッカー、パスタを持ってきました。
これで通過できましたが、パスポートの他のページも確認したり、何度も同じような質問を繰り返して、10分ほどかかりました。ただし、見せたのはパスポートのみで、帰りの航空券予約票やコンドミニアムの予約票を見せる必要はありませんでした。
通過できた、と思ったのは束の間、航空券に何か印をつけられ、荷物を受け取った後にスーツケースの中を調べられることに。再び別のスタッフに職業や会社名、部署名などを聞かれ、ハワイの滞在目的なども繰り返し質問されました。
Q. 仕事は何をしていますか?会社名と部署名は?
A. 東京のXXX会社でXXXの部署で働いています。
「ここに会社名と部署名を書いて」とメモ用紙とペンを渡され、「ちょっと待ってて」と言って何か確かめに行ってしまいました。数分後に戻ってきて「OK」と。おそらく会社が実在する会社か、またESTAで申請した内容と相違ないか確認していたと思われます。
Q. (小分けのプロテインの粉を指して)これは何?
(違法ドラックを疑われた可能性)
A. プロテインパウダーです。
Q. (派手目なワンピースを指して)このワンピースは?
(キャバクラなどで働くと疑われた可能性)
A. それは友人の結婚式で着るものです。
一通り他のすべての荷物を調べ終わると、「OK。じゃあ友達のウェディング楽しんでね」「時間をとらせてごめん。でも念のために確かめなくてはいけなかったから」「Have a nice day!」で終わりました。
2022年9月
この時はすでにコロナ関連の規制はすべて撤廃されていたので、日本人観光客もそれなりにいました。
Q. パスポートをお願いします。一人旅ですか?
A. はい、一人旅です。
Q. ハワイに来た目的は?
A. バケーションです。
Q. どのくらい滞在しますか?
A. 4週間です。
Q. どこに滞在しますか?
A. XXXです。
Q. 職業はなんですか?
A. 東京のXXX会社でXXXの部署で働いています。
Q. ハワイで仕事をしますか?
A. いいえ。バケーションです。
Q. ハワイ滞在中に学校に通う予定ですか?
A. いいえ。
Q. ハワイに友人はいますか?
A. 何人かいます。
Q. 彼らに会う予定ですか?
A. はい、会う予定です。
Q. 所持金はいくらですか?
A. 現金300ドルと、クレジットカード2枚です。
Q. 食べ物は持っていますか?
A. チョコレートとかクッキーを持っています。
Q. 何か申告が必要なものはありますか?
A. いいえ。
この後「OK. Have a nice day!」と言って無事入国できました。
滞在期間が4週間と通常の観光にしては長めですが、割と基本的なことしか聞かれませんでした。ただ、本当にバケーション目的なのかを確かめるために、質問の仕方を変えて聞いてきました。(ハワイで学校に通うか?仕事をするか?など)
この時も提出したのはパスポートのみ。
2023年7月
この時は夏休みシーズンということもあり、日本人観光客は多めでした。
Q. パスポートをお願いします。一人旅ですか?
A. はい、一人旅です。
Q. ハワイに来た目的は?
A. バケーションです。
Q. どのくらい滞在しますか?
A. 10日です。
(実際はコロナに感染してしまったこともあり延長して2ヶ月滞在しましたが、8ヶ月後の入国審査では何も指摘されることなく問題ありませんでした!)
Q. どこに滞在しますか?
A. XXXです。
Q. 職業はなんですか?
A. 東京のXXX会社でXXXの部署で働いています。
Q. 以前ハワイに来たのはいつですか?
A. 昨年の9月です。
Q. ハワイに友人はいますか?
A. はい。何人かいます。
Q. それは現地人ですか?日本人ですか?
A. 両方です。
Q. 彼らとも会う予定ですか?
A. はい。
Q. 所持金はいくらですか?
A. 現金300ドルと、クレジットカード2枚です。
Q. 食べ物は持っていますか?
A. チョコレートとかクッキーを持っています。
Q. 他に何か申告するものは?
A. ありません。
Q. 英語はどこで習いましたか?
A. 東京の大学で。
この後「OK. Have a nice day!」と言われ無事入国できました。この時も提出したのはパスポートのみ。滞在期間が10日なのであまり不審に思われることはなく、一般的な質問だけでした。夏休みシーズンで混雑していたのも、踏み込んで聞かれなかった理由かもしれません。
これまでの3回の入国審査を振り返ると、滞在期間が長ければ長いほど「どうして?」「なぜ?」という質問が多くなり、根掘り葉掘り聞かれます。また、回答に一貫性があるかを確かめるために、別の言い方で質問してきたりもします。
では、一体審査官はどんなポイントで審査していたのでしょうか。
入国審査で見られていること
入国審査で見られていることは主に以下だと考えられます。
- 回答が一貫しているか、矛盾はないか
- ハワイで違法労働する可能性はないか(売春目的ではないか)
- 結婚目的の可能性はないか
- ハワイに住み着く可能性はないか
審査官は、同じような質問を別の聞き方で繰り返し聞き、回答が一貫しているか、矛盾していないかを確認しているようでした。女性の一人旅が必ずしも疑われるというわけでなく、回答の内容や立ち居振る舞い、服装など総合的に判断して不審な点はないかチェックしています。
また、不審に思われるポイントは以下のようなものがあると考えられます。
① 滞在期間が長い(※)
「仕事をしていないのでは?」→「滞在費用はどのように払うの?」→「もしかしてハワイで違法に働くのでは?」と疑われる可能性があります。
② 頻繁に訪れている(※)
「日本で定職についていないのでは?」→「ハワイで違法労働しているのでは?」→「ハワイにつながりの深い人物がいるのでは?」→「住み着こうとしているのでは?」と疑われる可能性があります。
※ESTAで入国できるのは「あらゆる入国日より180日の期間内で最大90日まで」とされており、「入国される日より180日を遡り、その期間における滞在日数が90日を越えない事」とされています。この限度を超えると確実にアウトです。目安として、年間のアメリカ滞在が累計180日以内、入国回数が年に3回程度であればセーフといわれています。ただし、判断は当日の審査官に委ねられるので確実ではありません。
② パートナーに会いに訪れている
パートナーに会いに来ることは全く問題ありません。ただし、結婚を考えているなどの場合に「本来フィアンセVISAを取得する必要があるのにESTAで入国して結婚しようとしているのでは?」と疑われる可能性があります。日本に帰国する意思があることを証明できるように、日本の会社の名刺や雇用証明書などを準備しておくと安心です。
③ 無職
こちらも「無職なのに滞在費用はどのように払うの?」→「もしかしてハワイで違法に働くのでは?」と疑われる可能性が高くなります。
④ 露出の多い派手な服装やハイブランドものを身につけている
見た目にも注意が必要です。「どうして旅行なのにあんなに派手な格好なのか?」「ハイブランドを身につけているが、どこからお金が?」→「もしかしてパパ活しているのでは?」と疑われる可能性があります。以前ハイブランドをたくさん身につけていた知人は、経済力がある理由を聞かれたそうです。
入国審査で注意するポイント
入国審査を通過するためのポイントは次の6つになります。
① 基本的な質問「滞在目的」「滞在期間」「滞在場所」「職業」は答えられるように回答を頭に入れておく
ESTAにも登録する基本的なものは、はっきり答えられるようにしておきましょう。次の項目で、必ず聞かれる質問をまとめておくのでチェックしてみてください。
② 回答内容は明確に、はっきり大きな声で答える。わからなければ聞き返す。聞かれてもいないことを話さない
おどおどしていると不審に思われてしまいます。堂々と立ち、相手の目を見て大きな声ではっきり回答しましょう。もし質問内容が聞き取れなければ、必ず聞き返しましょう。「ハワイで仕事をするか?」という質問が聞き取れないまま「YES」と答えて入国拒否になってしまった知人がいます。何を聞かれたか曖昧で回答するのはとても危険です。また、聞かれてもいないことを話すと逆に怪しまれます。あくまでも聞かれたことだけ簡潔に答えましょう。
③ ESTAの申請内容と回答に矛盾がないようにする
例えば滞在場所や職業、会社名に相違がないようにする。特に、滞在場所は確実に決めておく必要があります。
④ 服装は観光客らしい無難な格好で
露出が多い服装や派手な服装、過度にハイブランドを身につけるなどは不審がられます。観光客らしい服装が好ましいでしょう。筆者は毎回Tシャツにジーパン、スニーカー、リュック。色はモノトーンか暗めでノーブランド。アクセサリーは小ぶりのネックレスとピアス。メイクはナチュラル。と徹底しています。
⑤ 紙で証明できるもの(航空券の予約やホテルの予約表のコピー)を用意
筆者は見せたことがありませんが、念のために用意しておくと安心です。航空券予約表は、必ず帰国するという証明にもなります。また、日本で仕事があるという証明のために会社の名刺なども持っていると安心。滞在が長めで心配な方は、滞在中のスケジュールも英語で作成しておくと良いでしょう。
⑥ スーツケースの中の服の量に注意
こちらは万が一になりますが、もしもスーツケースの中身を調べられることになった場合、滞在日数に比べて衣服が多すぎる/少なすぎると怪しまれることもあります。荷物の中身や量を他者が見たらどう思うか考えてパッキングしましょう。
入国審査で必ず聞かれる質問
3回の入国審査で、共通する質問項目があるということがわかりました。最低限これらの質問に明確に答えられるよう、準備しておきましょう。
ハワイの入国審査官は日本人に慣れているので、わかりやすい英語で質問してくれます。中には日本語で聞いてくる審査官もいるそうです。
わからなければ、Sorry? Could you say that again? (すみません、もう一度言っていただけますか?)などと聞き返すようにして、曖昧なまま回答しないようにしましょう。
①一人旅ですか?
・Are you traveling alone?
友達と一緒ですか?
・Are you with your friends?
②渡航目的はなんですか?
・What’s the purpose of your visit?
・Why are you here?
③どのくらい滞在しますか?
・How long will you be staying?
・How long are you going to stay?
・How long will you stay?
④どこに滞在しますか?
・Where are you staying?
・Where will you stay?
⑤職業はなんですか?
・What’s your occupation?
・What do you do?
⑥所持金はいくらですか?
・How much currency are you carrying with you?
⑦ハワイに友人はいますか?
・Do you have any friends here (in Hawaii)?
⑧食べ物は持っていますか?
・Do you have any food?
⑨何か申告するものは持っていますか?
・Do you have anything to declare?
一人で入国する際に聞かれる可能性が高い質問はこちら。
①これまでに何回ここを訪れたことがありますか?
・How many times have you visited here?
②前回訪れたのはいつですか?
・When was the last time you visited here?
③帰りの航空券はありますか?
・Do you have a return ticket?
これらの質問の回答として筆者が気をつけていることは、ワーケーションでリモートワークする場合であっても「ワーク」というワードは出さないこと。一貫して「バケーション」と答えます。
現地に友人がいると答えると怪しまれる、と聞いたこともありますが、これまで何度も訪れているのに現地に友人が一人もいないというのは逆に怪しいので、聞かれたら正直に「います」と答えています。一人旅の場合、目的が現地の友人に会うというものは、むしろ納得感があるのではないでしょうか。
ただし「ボーイフレンド」のワードを出すのはおすすめしません。理由は「入国審査で見られていること」の項目で説明した通りです。
最後に
今回は、ハワイの女性一人旅で入国拒否が増えている背景と、筆者が一人旅した際の実際の質問&回答をもとに入国審査で注意するポイントをお伝えしてきました。
ハワイの女性一人旅は、家族旅行や友人と旅行するのに比べて疑われる可能性が高まるものの、回答に一貫性があり不審な点がなければ問題ないと言えます。
帰国する意思(帰国しなければいけない理由)があること、ハワイで働くつもりがないことを明確にするのがポイントです。また、おどおどしたり怪しまれるような挙動をしないようにし、堂々とした態度でいることが大切。
日本との繋がりが深いハワイですから、日本からの観光客を歓迎しています。日本の空港で入国審査をすることで障壁を軽減させる「プレクリアランス」も2024年内に導入しようと動いているほど。
女性の一人旅だからといって、理由もなしに入国拒否になることはありません。今回の記事を参考に注意する点を頭に入れ、リラックスして入国審査に臨みましょう!
ちなみに、ESTAでハワイを含むアメリカに入国するのが2回目以降であれば、旅行者がスムーズに入国できるよう作られたMPC(モバイルパスポートコントロール)アプリというものを利用できます▼