ハワイ・ワイキキの街並みに隠された秘密|伝統と現代が織り成す景観
ワイキキを歩いていると、どこか特別な雰囲気を感じたことがありませんか?まるでテーマパークの中にいるような印象を受ける方もいるかもしれません。
ワイキキは、ハワイの観光の中心地として、歴史と現代が見事に調和した街並みが広がっています。この独特な景観は、訪れる人々に「ハワイらしさ」を感じさせるだけでなく、地域の文化遺産を守るために精巧にデザインされているのです。
ワイキキでは、独自の歴史と文化を守りつつ、特別な景観作りが行われています。この記事では、ワイキキの景観作りの秘密に迫ります。
ワイキキ特別地区の設立とその目的
ワイキキの景観作りの基盤となるのが、1976年に設立された「ワイキキ特別地区(Waikiki Special District, WSD)」です。ワイキキ特別地区は、ワイキキビーチ沿いからアラワイ運河、東はカパフルアベニュー、西はアラワイブルバードに囲まれたエリア全体を指します。
この特別地区の設立は、ワイキキの急速な開発によるハワイ文化や自然環境の喪失に対する懸念から生まれました。設立の目的は、ワイキキの持つ「ハワイらしさ」を保ちつつ、現代的なリゾート地としての機能を維持することです。
この特別地区では、開発や建築に関する厳格なガイドラインが設けられ、建物の高さやデザイン、オープンスペースの利用方法に至るまで細かい規定があります。これにより、ワイキキ全体が調和の取れた景観を保ち続けることができるのです。
ワイキキ特別地区のデザインガイドラインには、以下のような景観作りが含まれています。
歩行者優先の街づくり
ワイキキの歩道は広く整備されており、ヤシの木やプルメリアの木など美しい木々が植えられ、観光客や地元住民が安心して散策できる環境が整っています。街中には、オープンスペースとしてのミニパークや中庭、オープンロビーが随所に配置され、リゾート地ならではの開放感が演出されているのです。
散策中に休憩したいときには、いつでもオープンスペースのベンチや椅子に腰掛けて、ゆっくりと休憩できるように工夫されています。
また、ワイキキを歩いていると、その街並みがどこかテーマパークのように感じられることがありませんか?統一されたカラーの石畳で整えられた歩道、モアナ・サーフライダー(Moana Surfrider)の優雅な佇まい、そしてDFSワイキキの華やかなショッピングエリアなど、観光客向けにデザインされた街並みは、まるでテーマパークの一部のようです。
実はこの「テーマパーク感」は、ハワイの伝統と現代の観光地としての魅力を両立させるための戦略でもあります。観光客にとって親しみやすい空間でありながら、ハワイ文化を感じさせる要素が随所に散りばめられているのです。
歴史的・文化的価値の保存
ワイキキの歴史的建造物や景観は、地域のアイデンティティを守るために重要視されています。特に、50年以上経過した建物については、その保存や再利用が推奨されています。
カラカウア通りにあった映画館「ワイキキ・シアター3」は、多くのファンに惜しまれながら2002年11月に66年の歴史に幕を閉じましたが、その建築様式を活かして生まれ変わりました。現在、跡地はショップやダイニングが入る「センター・オブ・ワイキキ」として運営されています。1階にリップ・カール、2階にカリフォルニア・ピザ・キッチンが入っている建物です。
特に2階の飾り窓部分は、どこか懐かしい雰囲気を醸し出しており、過去と現在が見事に融合したデザインが印象的。
かつてワイキキ・シアター3のシンボルであった「WAIKIKI」と書かれたイルミネーションサインも、新しい施設に引き継がれています。丁寧に修復されたこのサインは、現在「センター・オブ・ワイキキ」の中央に設置されており、かつての映画館を愛した人々にとって懐かしい存在となっています。
このように、ワイキキの歴史は次世代に引き継がれ、ハワイの文化的価値を保ちながら、現代のデザインと見事に融合しているのです。
自然との調和を重視した建築デザイン
ワイキキでは、建物のデザインに自然との調和も求められています。建物の外装にはナチュラルな素材が使用され、色彩はベージュやアイボリー、柔らかいピンク色など、リゾート地の風景にマッチするようなトーンが選ばれています。
また、建物の配置や設計も、風通しや眺望を最大限に活かす工夫が。ワイキキビーチ沿いのホテルを見ると、海風が通り抜ける中庭や、周囲の緑を活かしたレイアウトが施されていることがわかります。
中でもシェラトン・ワイキキ(Sheraton Waikiki)やロイヤル・ハワイアン(Royal Hawaiian)は、その工夫が印象的。緑が生い茂る美しいガーデンや、鯉が泳ぐ池など、自然との一体感が感じられるデザインが特徴です。
カラカウア通りの石畳に刻まれたハワイ語
皆さんは、ワイキキのメインストリートであるカラカウア通りの歩道に刻まれたハワイ語に気づいたことがありますか?「ALOHA」や「MAHALO」「AINA」などの言葉が石畳に刻まれているのです。
筆者もハワイに住んで2年目のある日、友人と歩いている時にその存在を教えてもらうまで気づきませんでした。実は、カラカウア通りの歩道には、所々にハワイ語が刻まれ、その下には英語で意味も書かれています。
これらの言葉はハワイの文化や精神を象徴しており、観光客にハワイの伝統や価値観を感じさせる重要な要素です。観光スポットとしての価値を超え、ワイキキの景観作りにおいても大きな役割を果たしていると言えます。訪れる人々は、これらの石畳に刻まれたハワイ語を通じてハワイの文化に触れ、写真を撮って思い出として持ち帰ることができます。
ここでは、実際に刻まれているワードとその日本語の意味をご紹介。ワイキキを散策しながら、ぜひ見つけてみてください!
石畳に刻まれたハワイ語の意味
- ALOHA:こんにちは
- MAHALO:ありがとう
- AINA:土地、自然
- KAMAʻĀINA:地元の人々やハワイに長く住んでいる人
- MAUKA:山の方、内陸
- KULEANA:責任、義務
- WIKI:速い、迅速
- ʻOPALA:ごみ、廃棄物
- HALE:家、家屋
- KEIKI:子供
- WAHINE:女性
- KANE:男性
- PAU:終了、完了
これ以外にもハワイ語の言葉が石畳に刻まれているので、ぜひ探してみてその意味を調べてみてくださいね。ワイキキ散策がさらに楽しいものになること間違いなし!
ワイキキの未来と景観作りの展望
独自の歴史と文化を守りながら、特別な景観作りが行われてきたワイキキ。観光客がリラックスして散策を楽しめるよう、細部にわたって工夫が施されています。
ワイキキはその魅力を保ち続けるために、今後も景観作りへの取り組みを強化する必要があります。特にこれからは、ハワイ文化の尊重と自然環境の保護が最優先されるべきです。
今後のワイキキでは、持続可能な観光地としての目標に向けて、エコフレンドリーな観光施設を導入し、環境に配慮した街づくりが進められていくことでしょう。地域社会との連携も強化し、地元住民と観光客が共存できるまちづくりが推進されると期待されています。
これらの取り組みを通じて、ワイキキはハワイの「Alohaスピリット」を体現し、地域の歴史と文化を大切にしながら、観光地としての魅力をさらに高めていくでしょう。ワイキキを訪れる際には、お店やレストランだけでなく、街の建築やデザイン、歴史的側面にも注目してみてください。
参照:waikiki-special-district-guidebook.pdf