ハワイのメモリアルデーはランタン・フローティング・セレモニーへ
アメリカでは5月最終月曜日「戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー) 」に、戦争で犠牲になった方々を追悼する日として、各地でさまざまな行事が行われます。
ハワイでは、毎年アラモアナ・ビーチパークで「ランタン・フローティング・セレモニー(Shinnyo Lantern Floating Hawaii)」と呼ばれる灯篭流しが開催されます。
このイベントは、戦争犠牲者への癒しや祈りを込めて行われるほか、災害や病気で命を落とした方々への冥福の気持ちも込めて行われます。
大人から子どもまで、人種や国籍を問わず誰でも参加可能です。事前に仮設テントでランタンセットが配られるので、各自メッセージを書き込んだり飾りつけをしたりして自分のランタンを作り、セレモニーが始まったらアラモアナ・ビーチパークから流します。
太平洋へ広がる海に何千個もの灯篭が流れる光景はとても美しく荘厳で、ハワイと日本の歴史や文化に触れる貴重な経験となるでしょう。
今回は、そんなランタン・フローティング・セレモニーの様子をご紹介します。
ランタン・フローティング・セレモニー(灯篭流し)とは
ハワイのランタン・フローティング・セレモニー(Shinnyo Lantern Floating Hawaii)は1990年代に始まり、仏教とハワイの伝統に敬意を表し、それぞれの儀式に歴史的な意味が込められた伝統的なセレモニーとして毎年行われています。(パンデミックの影響で2020年から2022年までは一時休止)。
イベントの名前に「Shinnyo(真如)」という単語が入っている通り、日本の仏教が深く関係しています。
「真如」とは、すべての生きとし生けるものの中に光があるという仏教の概念で、ロウソクで照らされた半透明の提灯を使って記念するもの。
セレモニーは現在では、毎年5月の「戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)」に行われ、亡くなられた方々への追悼と敬意を表するとともに、人類が平和への願いを分かち合う場となっています。
毎年、セレモニーに参加するために世界中から多くの人々がオアフ島を訪れます。手作業で装飾されキャンドルが灯された何千もの灯籠が太平洋にゆらゆらと浮かぶ様子は圧巻。ハワイのランタン・フローティング・セレモニーは、他では体験できない心のこもった美しい伝統行事です。
今では約5万人もの人が集結し、約7,000個のランタンを流す世界最大規模の慰霊祭になりました。
セレモニー内容
セレモニーは午後6時30分から7時30分まで行われます。プーの音とともにセレモニーがスタート。「プー」とはハワイのホラ貝のことで、伝統的にイベントの開始を告げるために使われます。
プーの音に続いて和太鼓の演奏があり、ハワイ語で「オリ」と呼ばれる詠唱やフラダンスが披露されます。フラはセレモニーのテーマである団結を象徴する詩的な踊りです。
オープニングの音楽と踊りの後、6つの儀式用ランタンが運び込まれ、「和の灯」と呼ばれる火が点されます。
祈り、観客への祝福、花びらの散布、仏教の詠唱などを行いながら6つのメインランタンが海に流された後、参列者も灯籠を海に流し、祈りと願いを送ります。
セレモニーに参加するには
セレモニーは仏教徒でなくても誰でも参加することができます。参加者全員の希望をひとつにすることを目的としており、世界中からの観光客や地元の人々が集結する世界最大規模の慰霊祭です。
参加費は必要なく、アラモアナ・ビーチパークへの入場もセレモニーの指定エリア以外は無料です。ランタンを受け取るのも無料ですが、寄付を受け付けており、ビーチや公園の清掃活動の支援に充てられます。
セレモニーを観覧する際は、アラモアナ・ビーチパークやマジックアイランドの芝生の上に各自持参したシートなどを敷いて観覧します。
ランタンの受け取り
ランタンにメッセージを書いて流したい方は、ランタンの受け取りと飾り付けができる仮設テントに午前10時から午後4時までの間に行くようにしましょう。
テントで配られるランタンは自然環境に配慮したものなので問題ありませんが、自宅で用意したランタンは海洋生態系に有害である場合もあります。必ずテントで用意されたランタンを使用してください。
ランタン・フローティング・セレモニー2024年の様子を紹介
2024年5月27日(月)に、25周年を迎えるランタン・フローティング・セレモニーを見に行きました。
アラモアナ・ビーチパークに到着したのは4時半頃でしたが、すでに多くの人々が集まっており、ビーチはシートを敷いて待っている人々でいっぱいでした。そのため、少し遠くなりますが、マジックアイランドへ移動しました。
マジックアイランドは、アラモアナ・ビーチパークの左側に隣接した人工の半島です。位置はこちら。
マジックアイランドでは、ビーチよりは座れるスペースが残っていました。オープニングの演奏を正面から見ることはできませんが、ビーチから流れる美しいランタン全体を見渡すことができます。
また、サンセットはもちろん、ちょうど小雨が降ってきて、山側にかかる美しい虹も見ることができました。
定刻の6時半。ホラガイの音色とともにセレモニーがスタートしました。ハワイ語の詠唱も圧巻です。
和太鼓の演奏、フラの披露と進み、セレモニーの紹介や今年のテーマ、代表者の挨拶、追悼メッセージの紹介へ移ります。全て英語で行われますが、真如灯籠流しハワイ(Shinnyo Lantern Floating Hawai‘i)の日本人代表による挨拶は、日本語で行われました。日本とハワイの繋がりの強さを感じた一幕です。
今年は、昨年マウイ島で発生した山火事で犠牲になった方々への追悼と祈りも大きなテーマでした。
代表による儀式用のランタン流しが行われ、続いて参列者の方々も順番にランタンを流します。
壮大な音楽と共に海に浮かぶ何千個ものランタンはオレンジ色に輝き、とても幻想的な光景でした。また、その空間は人々の暖かく優しい想いに溢れており、とても感動的なものでした。
セレモニーが終わると、集まっている5万人以上の来場者が一斉に帰るので道路がとても混雑します。筆者はセレモニーが終わる15分ほど前に会場を離れましたが、それでもワイキキへ続く道路は多くの歩行者で混雑していました。
混雑を避けたい場合は、なるべく早めに会場を出ることをおすすめします。
基本情報
1201 Ala Moana Blvd, Honolulu, HI 96814 GoogleMAPで見る | |
18:30~19:30 | |
参加費・ランタン受け取り無料。寄付の受け付けあり。 | |
Shinnyo Lantern Floating Hawaiʻi |
最後に
今回はランタン・フローティング・セレモニーの概要と、筆者が2024年に参加した様子を紹介しました。いかがでしたか?
ハワイのこの伝統行事は、幻想的で感動的な体験ができるものであり、日本とハワイの強い絆と平和への願いが込められています。
5月、メモリアルデーの最終月曜日にハワイに滞在している方に特におすすめのイベントです。ハワイの灯篭流しの意義と伝統を理解し、ぜひ参加してみてください。
参照:Shinnyo Lantern Floating Hawaiʻi