ナチュール ワイキキ「ハワイの自然を活かした料理を」小川苗さんインタビュー
皆さんは、ハワイでサステナブルな食事体験をしたことがありますか?
近年、環境保全に力を入れて取り組んでいるハワイですが、ワイキキの中心部にお店を構えるフレンチレストラン「natuRe waikiki(ナチュール ワイキキ)」でも、サステナビリティに配慮した食事を提供しています。
今回は、ナチュール ワイキキでエグゼクティブシェフを務める小川苗さんのインタビューをお届け!
ハワイならではの自然の恵みを活かした料理を通じて体験する、特別なダイニングの秘密について迫ります。
小川苗さんプロフィール
ナチュール ワイキキのエグゼクティブシェフを務める小川苗さんは、東京出身で調理師専門学校を卒業。東京の二つ星レストラン「NARISAWA」で経験を積み、その後単身ニューヨークに渡り、さらに二つ星レストランで腕を磨きました。また、パリのビストロでも豊富な経験を積み、ハワイに拠点を移しました。
苗さんがこれまでに培った豊富なキャリアと料理に対する情熱は、彼女の料理に見事に反映されており、多くの人々から高い評価を受けています。
サステナブルレストラン「ナチュール ワイキキ」の秘密
ナチュール ワイキキの特徴やこだわりについて教えてください。
苗さん:
コンセプトが『Beyond the Farm to Table(ビヨンド・ザ・ファーム・トゥ・テーブル)』と言って、これまで地産地消に取り組んでいるお店は多くありましたが、ナチュール ワイキキではただ単に地元の食材を使うだけでなく、その食材が環境とどう関わっているのか、そしてどんな影響を与えるのかまでを深く考えています。
Erika:
ハワイの食材を使うだけでなく、その背景や影響を探り、実際にオアフ島をはじめ他の島の農家や農場に足を運び、彼らの取り組みや育て方を見学して食材選びをされているんですね。
サステナブルなレストランの運営を決めたきっかけは何ですか?
苗さん:
ハワイに来てちょうどコロナが発生し、私が働いていたレストランが一時閉店してしまい、約半年間、仕事を離れる時間がありました。この期間に、自分が今後どのような生き方をしたいか真剣に考えたんです。そのときに、自然と触れ合う中でその大切さを改めて実感し、この美しいハワイの自然が未来にも続いていくことを応援し、協力できるような生き方がしたいという気持ちが芽生えました。そして、料理人としての経験を活かして環境保全に貢献できる方法を模索した結果、サステナブルなレストランを運営することができないか、会社に提案することにしたんです。
そんなサステナブルなレストランを運営するにあたり、何か工夫したことはありますか?
苗さん:
料理はもちろんですが、それ以外の部分でもサステナブルを取り入れています。お店のインテリアにはできるだけ観葉植物や花など自然のマテリアルを使うようにしました。地元のお花屋さんやインテリアショップとのつながりを活かし、ハワイの植物や木を使った家具、装飾品を取り入れています。それから、この建物自体も歴史的建造物なんですよ。60年ほど前の普通の住居だった建物をそのまま使っています。古いものを長く大事に使うという考え方を大切にしています。
Erika:
お店が60年ほど前の当時の姿のまま利用されているとのことで、とても驚きました!確かに、天井の部分もよく見るとその歴史を感じます。
苗さん:
お店のインテリアも全てがサステナブルなアイテムなんですよ。細部まで徹底してサステナブルな素材やアイテムを使用することで、環境保全に貢献しながらお客様にも心地良い空間を提供しています。
食器類もハワイの素材を使用していて、ハワイの溶岩を使ったコースターもあります!
お客様からの反応はどのようなものがありますか?
苗さん:
お店のサステナブルな取り組みに興味を持って訪れてくれる方もいれば、全く環境のことを考えたこともなかったという方までいらっしゃいます。ですがそんな方からも、サステナブルな食事体験を通してハワイの自然の魅力を感じた、というお声をいただいています。ハワイで起きている環境問題について知ることができて新たな気づきになったとの声もあって、お客様が環境への関心を高めるきっかけになっているのかなと感じます。
Erika:
お客様も巻き込んで、お店全体でサステナブルの意識が高まっているんですね。
ビーガン・ベジタリアン向けのメニューもありますか?
苗さん:
ビーガンやベジタリアン向けのメニューもありますし、ハワイで採れた旬の食材や、面白いなと思った食材を取り入れた料理も多数提供しています。最近では、ヤシの芽から取れる『ハート・オブ・パーム(Heat of Palm)』という食材を取り入れているんです。通常は缶詰で売られているのですが、ハワイはヤシの木がたくさんあるのでハート・オブ・パームもたくさん手に入ります。食感もタケノコのようにシャキシャキしていて美味しいですよ。ナチュール ワイキキではハワイ島から取り寄せています。
Erika:
ヤシの木って食べられるんですね。。。知らなかったです!あまり知られていない珍しい食材を使い、お客様にもその地域ならではの味を楽しんでもらえるのが良いですね。
メニュー開発する際は、どのようにサステナビリティを取り入れていますか?
苗さん:
『こういう料理が作りたいからサステナブルにつなげよう』という考え方ではなく、まず食材に向き合い、その背景や育て方を知ることから始めています。農家さんが育てている特定の野菜や食材について知るところからスタートするんです。だから、『何を作ろうかな』と考える前に、まず問題提起となる食材があり、その食材を使ってどうやって美味しい料理にするかを考えるんです。問題から発想して料理を作るスタイルは、今まで培ってきたフランス料理の技術が役立っています。
Erika:
問題提起となる食材について理解を深めてからその食材を最大限に引き出す料理を考えるという方法は、とてもクリエイティブですね。
苗さん:
例えば、ナチュール ワイキキではマウイ島の鹿肉を使用しているのですが、これは今深刻な問題となっている鹿の増加がきっかけになっているんです。鹿の増加によって農地が荒らされ、土壌が緑を失い砂漠化が進んでいます。この問題に対処するために、鹿肉を美味しく調理して提供する方法を考案しました。
食品ロス削減にも取り組んでいると伺ったのですが、どのような取り組みをされていますか?
苗さん:
リサイクルやコンポストを行っています。ハワイでは食品廃棄物のピックアップをしてくれる業者がいて、普通のゴミとは別に、野菜の切りくずなどを集めてもらい飼料にしています。それから、果物の皮などは捨てずにカクテルの飾りにしたり、乾燥させて粉砕し、パウダー状にして料理に活用したりしていますよ。捨てられてしまう部分をできるだけ活かすように工夫しています。
最後に、今後の展望や目標について教えてください。
苗さん:
ようやくお店も2年を迎えて、東京にも2号店をオープンしたのですが、SDGsの意識を広めるには私たちのレストランだけでできることは限られていると感じます。自然環境を守りたいという私たちの想いや意識が、お店を訪れてくれるお客様や地元の方々、他のローカルビジネスにも広がり、地域全体で意識を高めていけたら良いなと思っています。
Erika:
ナチュール ワイキキの取り組みや姿勢がお客様や地元の方々に影響を与え、さらに他のビジネスにも広がることで、地域全体でサステナビリティに対する意識が高まっていくことを期待しています。苗さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
最後に
ナチュール ワイキキは、ハワイの自然と密接に関わりながら地元の食材を活かしたサステナブルな料理を提供することで、訪れる人々に新たな気づきを与えています。
地元の生産者や食材に深く関わり、環境保全に対する意識を高める取り組みは、今後地域全体に広がっていくことでしょう。
ハワイを訪れる皆さんも、ナチュール ワイキキでの食事を通じて、ハワイの自然の豊かさと環境保全の重要性をぜひ体感してみてください。
今後もナチュール ワイキキの取り組みに注目していきたいと思います!
natuRe waikiki(ナチュール ワイキキ)
413 Seaside Ave #2F, Honolulu, HI 96815 GoogleMAPで見る | |
17:30~23:00 定休日:月 | |
808-212-9282 | |
naturewaikiki.com |